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強引な営業で必要のない不動産を買ってしまったら
強引な営業に押し切られて必要のない物を買ってしまい、後で後悔する。こんな経験はないでしょうか。最近では、「ノルマがあるから助けてください」などと言って事務所に連れて行き、断れない雰囲気にさせ、契約を迫る営業手法が問題となっています。
このような強引な営業による契約は、法律上解除することができます。
弊所にも、強引な営業によって契約を結ばされてしまった方からのご相談がありました。
この方(Aさんとします)は、路上で声をかけられた後、そのまま事業所に連れて行かれ、「売却すれば、最低でも数百万円の利益がでる」などと言われてマンションの購入を勧められました。
Aさんは、母親に電話で相談しようとしましたが、相手は「住宅ローンが通ってから話したほうが良い」などと言い、電話をさせてくれませんでした。結局、断り切れる雰囲気ではなかったため、Aさんはマンションの売買契約を結んでしまいました。
Aさんは、その後すぐに契約を解除しようとしましたが、相手からは契約解除の違約金として100万円の支払いを請求され、話し合いをするために相手の事業所に呼び出されました。
幸いにも、Aさんは事業所での話し合いの前に弁護士に相談をしたので、相手に弁護士作成の通知書を送り、違約金無しで契約を解除することができました。
まず、個人(消費者)と事業者の間の契約においては、消費者を保護するために消費者契約法が適用されます。そして、消費者契約法4条には、個人(消費者)が契約を解除できる場合が定められています。
特に、消費者契約法4条3項の各号は、「帰ろうとしたのに止められた」、「電話で友人などに相談しようとしても、電話をさせてくれなかった」などといった場合において、契約を解除することができるとしています。
では、解除をしようとして、違約金を請求された場合はどうすればいいでしょうか。
消費者契約法9条1号は、違約金の金額のうち「当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」については無効としています。
つまり、明らかに過大な違約金については、仮に契約書などで明記されていたとしても無効となります。
このように、強引な営業による契約は解除できますし、解除に伴う過大な違約金などは無効となります。
気をつけていただきたいのは、このような強引な営業を行う相手は、理屈が通じない可能性が高いということです。解除を申し出たところ、Aさんのように「事業所で話そう」などと言われることもありますが、間違っても応じてはいけません。
理屈の通じない相手と顔を合わせてもいいことはありませんから、(消費者契約法の条文などの)解除の根拠を示した通知書などを送るのが良いでしょう。
専門家への少しでも早いご相談が、解決への糸口となります。
弁護士 中野雄貴