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「私は逮捕されてしまうのでしょうか?」
こんにちは、弁護士の橋本です。
今日は、刑事事件についてのお話しをしたいと思います。
よく「警察から呼び出しを受けているのですが、私は逮捕されてしまうのでしょうか。」というようなご相談を受けます。
呼び出しを受けている理由は様々でしょうが、ここでは、相談者の方が、いわゆる「容疑者」として捜査をされる場合のお話しをします。
この場合、法律的には、「被疑者として取り調べを受ける」ということになります(警察から「事情を聞きたいので警察署に来てください。」と言われるのはすなわち任意の取り調べなのです。)。
まだ逮捕をされて身体拘束をされていませんので、強制ではなく「任意の」取調べです。
結論から言いますと、仮に犯罪を行ったことが事実であるとしても、ここから逮捕される場合もあれば、逮捕されずにそのまま捜査が行われるという場合もあります。
その分かれ道はどこにあるのでしょうか。
⑴ 逮捕の要件
警察などの捜査機関が通常逮捕をするための要件は、刑事訴訟法199条1項、刑事訴訟規則143条の3に定められています。
①被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある
被害者や目撃者の証言や、客観的な証拠から、被疑者が罪を犯したと捜査機関が判断した場合です。
被害者から被害申告があったとしても、その証拠が全くないような場合には、これを満たさないと判断される場合があります。
②被疑者が逃亡するおそれがあるか、罪証隠滅のおそれがあること
逃亡のおそれの判断要素としては、社会的なつながり、すなわち、たとえばそれなりの規模の会社の従業員であるか、またその職場における地位・立場的にも、被疑者が会社に不可欠であり、その地位や立場を捨ててまで逃走するわけがない、というようなものが大きいように思います。その他にも、同居する家族などの信頼できる身元引受人がいるか、などが考えられます。
証拠隠滅のおそれとして、その犯罪の証拠となる物が簡単に隠滅できそうなものであったり(たとえば、盗撮のデータ、窃盗した財布など)、実際に任意の取調べの時点で証拠の一部を処分してしまっていたような場合には、他の証拠も処分してしまうのではないかと考えられ、証拠隠滅のおそれアリと判断される可能性があるように思います。また、被害者がいる場合には、被害者に圧力をかけて証言を変えさせる可能性もこの罪証隠滅のおそれの一要素とされます。
あくまで私の感覚でありますが、①のある程度の証拠があり、嫌疑が固まった場合には、捜査機関としては犯罪の軽重などを踏まえ、②の要件については比較的緩やかに考えて逮捕に踏み切る場合があるように思います。
なお、犯罪の軽重についてですが、例えば弁護することが多い犯罪である窃盗については、万の単位になると、比較的重い部類に入ってくるように思います(もちろんコンビニやスーパーで100円のものを万引きしても逮捕されるときはよくあります。)。他にも多い覚せい剤・大麻などの薬物犯罪の場合には、現在捜査はとても厳しいので、原則逮捕されると思ってよいです(また薬物の場合、罪証隠滅が非常に容易ですので、で、証拠がみつかり①があると判断されればまず逮捕です。)。
⑵ 逮捕されてしまったら
逮捕から72時間以内に、検察官はさらに10日間身体拘束をする勾留という手続を行うための勾留請求をするかどうかの判断をします。
ここで、勾留されてしまうと逮捕の72時間に加え、10日間の勾留、さらに捜査のために必要だと判断されると最大10日間の勾留延長請求がされ、結果23日間もの身体拘束がされる可能性があります。
勾留期間の満期を前に、検察官は、起訴するかどうかを決めます。
そうすると、報道される、会社を辞めざるをえなくなるなど、著しい不利益が生じる可能性がありますし、何より留置場にいることは耐え難い苦痛でしょう。
⑶ 逮捕を防ぐには
犯罪を行ったことは間違いなく、その罪を認めながらも逮捕を防ぐためには、まずは素直にいいわけをせずに取り調べに応じることです。
私に過去に相談された方のなかでも、いいわけをして不合理な弁解に終始したことで、逮捕されてしまったケースがいくつかありました。不合理な弁解や否認をすることは直接逮捕の要件にあたらないので、違法だと争うことも理論的にはありえそうですが、何より逮捕されることは大きなダメージです。
また、これも私の感覚ですが、任意の取り調べの段階から弁護士に依頼をし、弁護士と警察とで協議ををして、きちんと被疑者を取り調べに応じさせることを約束することで、逮捕の可能性は低くなるように思います。
そして、被害者がいる場合には、弁護士が示談を試みて、罪証隠滅のおそれがあると判断される可能性を低くするように努めます。
もちろん重大事件はその程度では逮捕を免れませんが、今まで私が任意捜査の段階から依頼を受け、警察と協議しながら弁護活動を行ったケースでは、いきなり逮捕はありませんでした。
弁護士がついただけでもやはりイメージ的に信頼度は上がりますし、法律的には、「逃亡のおそれ」や「罪証隠滅のおそれ」を軽減しているように思います。
以上のことからしても、たとえ逮捕をされていないとしても、まずは自分の置かれた状況を判断し、今後の見通しを持つことが大切です。警察から呼び出された場合には、すぐに弁護士に相談しておくべきだ考えます。弁護士に依頼をすべきケースかどうか、それを知ることが肝要です。
弁護士に依頼をすることになれば、決して安くはないお金がかかります。
しかしそれは、弁護士としても、何より逮捕などの不利益を回避するために迅速に対応する必要があるからに他なりません。
また、職を失う、留置場に拘束される、報道されるといったことは、お金にはかえられない不利益です。
我々福岡西法律事務所の弁護士は、これまでも、その犯罪の軽重にかかわらず、多くの刑事事件を取扱い、逮捕を回避する、あるいは早期の身体拘束からの解放という弁護実績を上げてきました。
福岡市西区姪浜に事務所を構え、西区をはじめ、早良区、糸島市など、福岡全域にお住まいの方から相談を受けて参りました。
また、大野城市にも支店がございます。
刑事事件でお困りの際には、是非当事務所までお電話ください。解決方法を提案致します。