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マンション管理組合の管理会計からの不正支出がありそうだけどどうしたら良いですか?
Q 分譲マンションに住んでいますが、最近理事長の様子がおかしいようで、組合運営に必要だからと言って、飲食店で食事をした代金や関係先への謝礼で購入したという商品券代金を管理会計から支出しているようです。不正支出を止めさせることと、不正支出の返還を求めたいと考えていますがどうしたらよいでしょうか?
理事長は、マンション管理組合の規約により選出される理事で構成される理事会の長です。理事や理事長、監事の選出・解任方法、資格、任期、権利義務等は管理規約で定めるものとされています。まずは、管理組合規約を確認することが重要です。
マンション標準管理規約(単棟型)では、理事の義務について、以下のように定められています。
マンション標準管理規約(単棟型)
http://www.mlit.go.jp/common/000161664.pdf
(役員の誠実義務等)
第37条 役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。
2 役員は、別に定めるところにより、役員としての活動に応ずる必要経費の支払と報酬を受けることができる。
理事長は、組合員に対して誠実義務を負っていますので、不正支出などがあれば、同金員の返金を求めることができます。ただし、不正支出の有無について、組合員に知らされない場合が多いため、不正支出をした事実を突き止める必要があります。
マンション管理組合の理事長がいくらをどのように支出しているのかについては、マンション管理組合総会で質問することができますので、会計資料の提出を求め、支出が合理的かつ妥当なものであるのかについて、問い質すことが考えられます。また、理事会への出席を求め、会計資料の確認と説明を求めることも考えられます。
質問にあった飲食店で食事をした代金や商品券の購入については、通常は管理会計から支出することはできません。仮に、同様の支出が認められた場合には、必要性と相当性について詳しい説明を求めるべきだと思います。
組合の財産は、マンションの区分所有者が共有するものですから、その支出については、合理的かつ妥当なものでなくてはなりません。組合の財産を守るためにも、疑わしいところがあれば、理事長などに問い質し、詳しい説明を求めることで、組合運営が規律を保ち、より良い運営をすることに資するとも言えます。
弁護士 伊 藤 拓