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配偶者からDVを受けているのですが、離婚できますか。慰謝料はどうなりますか。
1 「DV」とは
配偶者暴力(DV)とは、配偶者または事実婚のパートナーなど親密な関係にある男女間における「暴力」のことを言います。
ここでの「暴力」というのは、殴る・蹴るなどの身体的暴力がもっとも想像しやすいと思いますが、それだけではなく、人前でバカにしたり生活費を渡さないなどの精神的暴力(いわゆる「モラルハラスメント」「経済的DV」)や、性行為の強要などの性的暴力も含まれます。
本稿では、離婚がテーマですので、以下では、配偶者からのDVを前提とさせていただきます。
2 離婚できますか
⑴ DVがあるときには、それが「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)に当たるといえる場合には、他方の配偶者が離婚したくないと強く言っている場合であっても、裁判所が離婚を認める判決を出すことができます。
⑵ しかし、DVは、家庭内などで行われることから、「あった」「なかった」という点が争いになることも少なくありません。
たとえば、身体的なDVがあり、怪我をしたことがあるものの、病院に行っていないときなどは、裁判所という第三者に認めてもらうことができるのか、悩ましい問題にぶつかってしまいます。また、モラルハラスメントなどの場合には、「言った」「言わない」の問題が生じることが多いです。このようなケースでは、裁判所に「DVがあった」と認めてもらうために、どんな資料があってどんな資料はないのか、詳細に事情を伺いながら、立証の方法を考えていくことになります。
⑶ ただし、仮に、DV自体の証拠がなくとも(家庭内のことですので、証拠がないことのほうが多いかもしれません)、離婚自体が可能なケースは多いです。
証拠がないから離婚できない、ということではありませんので、離婚したいと思われたときには、状況に応じた手段等を一緒に考えさせていただくことができます。まずは、ご相談ください。
3 慰謝料をもらうことはできますか
⑴ 夫婦の一方が婚姻関係を破綻させたときには、その程度によって、慰謝料の請求をすることができます。これは、民法の不法行為(709条)を根拠とするものです。
⑵ 慰謝料の金額の相場は、有責性が高いほど(ひどい仕打ちであればあるほど)高くなります。たとえば、一口に「不貞」といっても、肉体関係が一度きりであった場合と、結婚期間の大半行われており、不貞相手との子どもまで生まれている場合とで、後者のほうが慰謝料の金額が高くなる、というのはイメージしやすいかと思います。
ただし、裁判になった場合には、有責配偶者に資力や社会的地位があるかどうか、無責の配偶者に資力があるかどうか、財産分与による経済的充足があるかどうか、といった要素も考慮されます。あの人は、これくらいの怪我を負って慰謝料が●万円だから、私のケースでは、これよりも高いはず、とは必ずしも言えないのです。
⑶ また、離婚できるかどうかと同じように、「証拠」の問題があります。
一般論にはなりますが、「離婚が認められるために必要な証拠」よりも、「慰謝料の支払を認めさせるために必要な証拠」のほうが、第三者が証拠だけを見て納得する程度のもの(直接的な証拠)が要求されることが多いです。
相手が認めているから大丈夫と相談でおっしゃる方もいらっしゃいますが、裁判になるようなケースでは、相手は、裁判ではこれまでと違う話をすることも十分にあるという前提で、こちらの見通しを立てたほうがいいかもしれません。
それぞれのケースで、どの程度「証拠」があれば、慰謝料が認められそうかという点については、資料をご持参いただき、個別にご相談いただければ、ある程度の見通しをお話させていただくことができます。
以上、概略ではありますが、DVについて裁判上の問題点を説明させていただきました。
一口に「DV」といっても、それぞれの当事者間に様々な事情があり、インターネットで検索したケースと必ずしも同じ結論になるとは限りません。
私たち福岡西法律事務所の弁護士は、相談を大切にし、手続の選択や、解決に当たって重視すべきことを丁寧に聞き取り、相談者のかたに納得いただけるようなアドバイスをすることは心がけております。
相談料は、皆様が何度でもご相談いただきやすいよう、30分2000円(税別)となっております。
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